FNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFN
メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
============================================================
★第069号 ’00−11−24★
============================================================
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ほーら、来た! (2)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■前回に引き続き、10月28日のNHKスペシャル
「英語が会社にやってきた」に関わる話です。
●番組冒頭に出たSMK、
毎度昔話で申し訳ありませんが、同社の社名が<横文字>になる遙か前、
未だサーモスタット屋になることを思い付いていなかった頃、御用聞き
に伺っていたことがあるので少々懐かしかった。
いつも創業社長I氏が入り口近くに頑張っておられ、コンチワーと足を
踏み入れるや頭ごなし、「高い、高い、高い!」 相手構わずに大声
を浴びせかける、何とも乱暴な雰囲気の会社でしたよ。
訪問者の用向きも聞かず、いきなり値切る。 「高い!」と喚いてさえ
いりゃ誰かはビックリして値引きする、と確信しておられたようで、、
一種の陣頭指揮。 壮烈な、しかし<工業経営学>的には甚だ疑問を
感じないわけには行かない経営者ぶりでした。 早々<卒業>させて
頂きましたよ。 こちらにも顧客を選ぶ自由はあるんだ、、 と。
*
そのSMK、値切り志向も高度化、国際化して、今や海外15カ国に子
会社を持ち、社員の8割が外国人だという。 まさか外国でもあんな
こと、やってるんじゃないだろうね、、 つい心配してしまう。
今年から社歌も英語で歌うことになった、と日本人社員の練習?風景が
映し出されましたが、、 なるほど、社員さんの様子も昔とは大違い、
何となく<教養>っぽさが漂ってました。 それにしても、
15カ国共通、みんな英語で、、 かな? 何やら<国際的>みたい
ではあるけれど、、 ちょっと待てよ、、
<社歌を歌わせる>のは<日本風>、そんなの今どき通用するのかね?
<形>を英語に変えても、<心>が<日本語>のままじゃ、、 の懸念。
解説では「去年1年間に外国と提携した会社は350」。 どの会社も
社歌を歌わせるわけじゃないでしょうが、<波動の一致>によって成功
する会社、その中に果たしていくつあることやら。
* *
せっかくルポするなら、それら子会社で、現地の人材をトップに登用し
ているところがいくつあるか、くらいは掘り下げて欲しかった。
今アメリカで、フォード車の横転事故でモメているタイヤ・メーカーも、
日本の親会社が送り込んだ人が先頃まで社長を務めていました。 その
件での対処もまずかったようだが、ニュース画面から見た限り、喋り方
も上手ではなかった。 基本的な<文化>の理解、どうだったか、、
現地採用の社員たちは、いくら働いてもトップにはなれないのだから、、
と士気が低下していた、由。 思うにあの派遣社長、<能力>で彼ら
を信服させてはいなかったに違いない。 その証拠に、彼、
大問題を目前にして退き、現地スタッフを昇進させて今後に当たらせる
ことになった。 降りかかった問題が処理できないような人を社長に
据えるなんてこと、初めからすべきでなかったのですよ。
しかしそんな事例、日本企業海外製造拠点の現地法人には珍しくない。
SMK社の製品がそれほどの危険を内蔵する種類のものとは思いません
が、現地法人経営の原理はどこでも同じ。 で、大丈夫かな? と。
技法的に吟味するとしたら、DA的に
・<社歌>斉唱の<狙い: WANT >は何か?
・そのような狙いを達成する方法はほかにもあるのではないか?
もしマイナス影響が感じられるなら、いっそPPA的に、
・その慣習を廃止したら?
***************
●次の場面はNEC、
新入社員の入社式直後、そのままのステージで行なわれた英語レッスン。
ガイジンさんが「電話、取ってくれますか?」と持ちかけると、新人君
思わず「
No! 」 (そんなこと私できません、の No でしょうな)
すかさずガイジンさんが訊く、「No?」 (取ら<ない>の? の感じ)
新人君、泡食って180°転換、「
Yes, yes, yes,,, 」
No と言ったり Yes と言ったり、、 いったい、どっちなの?
Yes、No で始まる答えはフル・センテンスで、、と習わなかったかね?
日本人のよく犯す誤りを防ぐには、それが一番なんだがな、、
*
「英語力を目安に新人配属先を決定している、、」そうですが、使い
物になるほどの英語力を備えた新人なんて、いるんですかね?
現に「能力別、業務別に200コース」も設け、6千人も受講させて
いるという。 <いない>証拠かも。 企業の負担は巨大です。
使えない<半製品>を平然と送り出す<学校>なる組織は、品質保証
の概念を全く欠いており、ほとんど詐欺同然。 しかしながら、
中学・高校で2400単語も習っているのに、900単語で済む日常
会話にも不自由するのが日本的現実。 何故なら、学校の英語は
単なる<試験に合格するための1科目>。 「だから知識はあっても、
<運用する>力が無い」、そう外人講師が指摘していましたな。
試験問題が作りやすく、採点しやすく、点差が明確に出せる方法、、
となれば文法や英文和訳、記憶力本位の筆記試験。 文明開化当時
と理由は異なるが、結局<読み・書き>専用英語になってしまった。
そのため<聴く・話す>が欠落。 さすが鈍感の文部省も90年代、
「コミュニケーションを重視した英語へ、、」と学習指導要領に謳う
ようにはなったが、、 まあ、机上の空論。
お役人はそう書けば済むのか知らないが、学校にゃ<聴けない・話せ
ない>のしかいないんだぜ。 コミ重英語、誰が教えるんだい?
いずれにせよ、お役人の認識は鈍いし、対応は常に後手。 今までの
教育が今のビジネスに間に合っていないのと同様、これからの教育は
これからのビジネスには間に合わんでしょう。
* *
TOEIC、ビジネスマンの英語力テスト。 2000社が導入して
いるというが、日本の平均値はただいまのところ450点。
海外出張を単独でこなすには最低600点、交渉場面用なら730点
必要だという。
300点近くも差があっちゃ、まず勝てませんな。
***************
●横文字にかけては
遙かに有利と思われるルノー本社、年20億円かけて英語力の補強に
励み、平均700点、6割が750点取っているという。 日本へ
来ている連中は、当然後者でしょうね。
対する日産自動車は年間3億円。 平均何点かは示されなかったが、
まあ450点をどれほど上回ることはあるまい。 300点差勝負
がどんなものになるか、如実に見せてくれましたよ。
*
同社ルノー事業室主管K氏を中心とするメンバーが、2カ月後市場に
投入するワゴン型新車種
Scenic のTVCFをフランス側と検討する会議でした。 <欧州市場で100万台!>の実績が背景。
事業室発足のため12年いたドイツから呼び戻されたK氏は<ケンカ
英語>を自称する人。 もちろん<日本人平均>を優に超えるはず。
日本側の主役を演じることになったのは自然な成り行きでした。
ほかの諸氏は多分<平均>的、英語研修を受けたにも拘わらず、議論
には食い込めず、ただ耳を傾けるのみ。 気の毒にもK氏一人奮戦。
結果は予想通り、押されっぱなし。 人数は日本側の方が多かった
んですけど、ね。
*
フランス側は「機能性で売り込もう!」。 後座席の右半分を倒し、
リヤ・ゲートを跳ね上げ、本棚を横倒しに積み込んだカットで強調。
しかしながら、本棚の真っ赤な色とユニークな形状があまりにも強烈。
日本側にはアピールしない。 K氏は「実用車の印象を与えるべき
でない」、「日本人の<フランス>はパリ、ワイン、チーズ、、」、
だからファッショナブルに印象づけたいと主張。 これに対し、
「絵画や彫刻を買う人は、作家の個性を知りたがる。 同様、車を
買うときには機能性を知りたがるはず」、フランス人はそうなんだ。
「家具は車と関連していて面白い、
intimate 」、スタイリッシュでモダーンな車だ、とフランス側は譲らない。 そしてさらに
* *
「日本人男性モデルを使い、日本語で喋らせることにしたい」という。
そのCFを観れば、男たちがオレにも買える、オレもそのように使う、
と思うはず、と親近感、共感を強調。 あくまでも実用性!
日本側は<外人><女性>モデルを使い、フランス語で喋らせ、それ
を日本語字幕に出す方が、、 と。 あくまでもファッション性!
結局決まらず、会議は解散。 その後、主要メンバーでの<二次会>
にも及んだが、「客は日本人。 日本人から見たフランスのイメージ
で、、」とするK氏の食い下がりも空しく、、
最終的にはフランス案で行くことになったが、私も<日本人>、K氏
に賛成です。 <実用性>と言うなら、もっと良く出来た車が前から
日本にはあるんだ。 私十何年来愛用のスバル・レックス・ワゴン
550cc も荷物室の作りは
Scenic と同じだし、燃費はバイク並み、、
その実用的・機能的日本車を、フランス風アピールで成功させた例が
ありましたな。 トヨタのヴィッツ。 あれが爆発的に売れたのは、
可愛らしいマダムがエコ的レクチャーをしたあのCFの功績では?
<ルノー>ブランドがこの国で強いとも思えない。 外車→欧州車→
ルノーという志向があるとしたら、根拠は「希少性」かも知れない。
「実用性」とは、おそらく誰も言うまい。
やはり<フランス美人/フランス語>でやった方が、、 と。
* * *
分類するなら、フランス側は<狙い達成>志向、ブレークスルー型、
日本側は(邪推だろうけれど)<ヴィッツ追従>志向、カイゼン型。
視点や姿勢が全く対照的で、議論は初めから噛み合いにくかったが、
噛み合わせるように議論を進めたとも見えなかった。 要はその
CFにどんな効果を生じさせようか、という
WANT の話なのだから、
<実用性かファッション性か>の二者択一で論じる必要は無かった
はず。 <実用性>や<ファッション性>も細分化して、もっと
具体的に描いた上で取捨すべきではなかったか、 そのためには、
(それがどんなものになるかは別とし、そのCFによって)どんな
結果をもたらしたいのか、思い付く限り、どんどん書き出す。
番組では制作日限やコストの話は無かったが、そうした
MUST 目標を抜きにした議論はあり得ません。 カットされただけかも。
しかしCF。 視聴者にどんな印象を植え付けたいか、
WANT がより大切です。 何を思い付くかはその人の背景次第、いくらでも
出てくるでしょう。 どんどん書き出します。
出尽くしたら、それぞれの項目の<重み>を評価する。 実用性を
重視するフランス側も、コストやファッション性を全く無視したり
はしないでしょう。 同様日本側も、実用性項目の<重み>を1
や2ばかりにはしないでしょう。 そうしておいて、
第1案:日本人男性/日本語、第2案:外人女性/フランス語。
これらが、
WANT 各項目をどう満たすか、具体的に記述し、 WANTごとに横並べ比較し、優れている方の案に得点
10 、それとの対比で他方に
9〜1 の得点を与え、
後は<重み>と<得点>のかけ算、そして、その積を累計します。
壁の模造紙に書き込む形で進めればまさに協同作業、<対立>を
物理的に解消することが出来ます。 その姿勢が貴重です。
* * * *
このように<要素に分解した議論>なら、どこでどんな差があるか
掴みやすいので、言い負かされる方も納得が行きます。 しかし
ルノー事業室の議論は、英語的発言量の差で決まった感じ。 実は
日本側の説得が届かなかったからですが、少々シコリは残りました。
つまりフランス側も説得に成功したとは言い難い。 これはどうも、
言語能力より方法論の不十分の問題、のようですな。
K氏、円筒形の灰皿を取り上げ、「円いと見る人もいるが、横から
見りゃ四角でしょ。 一つのモノが角度次第で違って見える。
コチラがどんな角度で見ているのかを説得できなきゃ、それで彼ら
を納得させられなきゃダメ。 考え方や文化が違う。 それを
乗り越えなくちゃ、、 また、ワザを磨きます」
ほらね、納得してない。 彼ですら。 だから、ほかの日本側
諸氏も、多分。 こりゃチームワークとして問題ありますね。
そこでKさんにお奨め。 <磨く>には
Rational Process ですぞ。たしか御社、昔からKT法だったでしょ? あなたは受講なさら
なかったのかな?
***************
彼我の差を<英語>で詰める努力は怠るべきではありません。 が、
それよりも、<考え方>で詰める方が速くて効果的ではあるまいか。
英語に何年かかるかは見当もつかないし、個人差もある。 職種に
よっては、せっかく上達しても維持向上が難しい。 しかし、
<考え方>
Rational Process なら3日間で一通り学ぶことが出来、いつも使うに決まっているから腕は上がる。 それを使えば、英語
力の不足を補うことにもなる、、
ルノー事業室の皆さん、今後
Rational Process を議事運営の基本ルールとなさってはいかが?
■竹島元一■
============================================================
FNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFN
■
ホームページへ戻る